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りきゅう動物病院は、より高度な医療知識と技術・設備を充実させることで、皆様の大切な家族の一員を守ります。
胸腰部椎間板ヘルニア、Salter-Harris型骨折、膝蓋骨脱臼、股関節脱臼など
今日、日本ではミニチュア・ダックスフントはポピュラーな犬種のひとつで、日々色々な毛色の色々な毛の長さのダックスさんを診察しています。今回はそんなダックスさんの飼い主様なら一度は聞いたことがあろうと思われる「椎間板ヘルニア」についてのお話しです。
椎間板ヘルニアは椎間板という椎骨(背骨)と椎骨の間にあって、クッション材の働きをしている組織が変性を起こし、それに続いて、脊柱管内(脊髄が通っている空間)に椎間板や椎間板物質が突出、逸脱することで、麻痺や痛み、排尿障害などの症状を起こす病気です。典型的な例として、ダックスフントやビーグルなどが突然、後ろ足の麻痺を起こし、立つことができない、背中を触るとすごく痛がる…などの症状をおこし、病院を受診することが多いです。症状や神経学的検査から、「グレード分類」というもので重症度が分類されます。
問診・視診、歩行検査、神経学的検査、整形外科的検査、画像診断(レントゲン検査・脊髄造影検査・CT・MRIなど)、脳脊髄液検査などを組み合わせて診断しますが、多くは犬種や、問診、神経学的検査、整形外科的検査などから椎間板ヘルニアを疑えることが多いです。(ただし、確定診断にはMRIが必要です)
椎間板ヘルニアはグレードによって、内科治療が可能な場合と、外科手術が必要な場合がありますが、特に、外科手術を検討しなければならなそうな場合は、
など、実際に手術を行う前に知っておきたい情報を得るために、主にMRIを用いた画像診断や、脳脊髄液検査が有効な手段となります
椎間板ヘルニアの基本的な病態としては、椎間板物質が脊髄にぶつかって脊髄の圧迫を起こしているという状態なので、グレードによって、内科治療が可能なケースと、外科療法でないと、麻痺の改善が難しいケースがあります。また、麻痺が残る場合はリハビリも重要で、適切な時期に適切なリハビリを実施し、運動機能の回復を助けていく必要があります。当院では以下の治療を組み合わせながら治療を行っています。
会陰ヘルニア、脾臓腫瘤、子宮蓄膿症、異物除去など
脾臓という臓器をご存知ですか。普段あまり聞きなれない臓器かもしれませんが、左脇腹のあたりで胃のすぐ下にあり、主に免疫などに関わる臓器です。今回はこの脾臓にできた腫瘤(しこり)のお話しです。
身体検査をしていると、「あれ?お腹の中に何かある。」と思うことがたまにあります。動物はいたって元気。いぶかしがってエコーをあてると、大きなしこりがあります。…ということがたまにあります。お腹の中の腫瘤は外見からは、ほとんど気が付くことができません。いつの間にか進行していることが多く、特別な血液検査があるわけでもないので、触診やレントゲン検査、超音波検査などで偶然できものが見つかるケースが多いです。どの臓器にも腫瘤はできますが、犬猫においては、大きな腫瘤を作る臓器の一つが脾臓です。
脾臓は血液がいっぱい入っている袋のようなもので、普段は血液を貯留したり、白血球の教育など免疫系の働きをする臓器です。そのため、脾臓に腫瘤が生じた場合、腫瘤部からじわじわ出血が続いたり、腹部を強く打ってしまった場合は腫瘤が破裂して突然大量出血をおこしてしまう危険があります。腫瘤があっても出血がなかったりすると、動物は元気で、外見からは極めてわかりにくく、何かの拍子にぐったりしていることに気付いた時には大量出血で生命の危機ということがしばしばあるので、注意が必要です。
ひとくくりに腫瘤(しこり)といっても、様々で、「悪性」のものと「良性」のものがあります。「悪性」のものはタチが悪く、急速に転移、進行していく種類のものを含みます。「良性」の場合、「できもの」そのもののタチは悪くはないですが、上記のようなエピソードが良く起こるのは実は「良性」の場合なのです。「悪性」の場合、腫瘤が破裂するほど大きくなる前に、何らかの不調で気が付くことが多く、むしろ「良性」だと動物が元気なため、何かのきっかけで腫瘤が破裂してぐったりするまで気が付かないという事例が発生するのです。「悪性」「良性」にかかわらず、脾臓の腫瘤は危険=爆弾を抱えているようなものなので、早期の治療をおすすめします。
触診で腹部腫瘤が疑われた場合は、その後画像診断(超音波・レントゲンなど)を行い、どの臓器からの発生かを確認します。もちろん、腹部腫瘤が疑われる動物以外、例えば健康診断などの画像診断でも腫瘤の有無を確認できます。脾臓の腫瘤が確認された場合、血液検査・血液凝固検査を行ったうえで、腫瘤の細胞診(針を用いて病変部の細胞を採取して、細胞の性状を検査する方法)や病理組織検査で診断を確定していくことが多いです。血液を多く含む臓器なので、腫瘤によっては、体表からの針による細胞診のリスクが高いこともあり、場合によっては、確定診断をつけるために開腹して、脾臓を摘出し、摘出臓器による病理組織検査を行わなければならないこともあります。
2でも述べましたが、脾臓という臓器の特性上、開腹しないと診断ができないケースも多々あります。腫瘤の中には悪性のものも含まれますし、良性であっても、後々トラブルを起こす可能性のある爆弾を抱えているようなものです。そのため、基本的には手術による切除をおすすめします。脾臓という臓器が他の臓器と大きく異なる点は、無くても大きな支障を来さないという点です。その為、脾臓に腫瘤がある場合は基本的に脾臓そのものを切除してしまいます。通常、切除した臓器は病理組織検査へ回します。余程のことがない限り、確定診断がつきますので、その診断をもとに、今後の治療を考えていきます。因みに、良性の判定であった場合、根治となります。
歯石除去・スケーリングなど
ワンちゃん、猫ちゃんに歯ブラシ…最近は動物を飼う方の知識も向上してきて、歯のケアを行う飼い主さんは増えてきています。その一方で、ワンちゃん、猫ちゃんに歯ブラシ!とびっくりされる方もおります。野生動物は歯ブラシなんてしないのだから…と思う方もいらっしゃるみたいですが、ご自分のワンちゃん・猫ちゃんの口の中、見てみてください。歯石がこびりついている、口臭がする…といったことは結構あります。ワンちゃん猫ちゃんの口腔内はアルカリ性のため、弱酸性のヒトの口腔内と比べ歯垢が歯石に変化しやすいのです。ヒトでは虫歯が多いですが、ワンちゃん猫ちゃんの場合、虫歯は比較的少なく、歯周病がとても多いのです。歯石は細菌と唾液の塊の為、口臭や見た目の問題だけではなく、心臓や肝臓、腎臓など体全体へも悪影響を及ぼすことがありますから、たかが歯周病とは言っていられません。
歯周病が進行すると、歯肉炎が生じます。また、歯肉が徐々に下がります。敏感な子の場合、口を痛がる、硬いものを食べたがらないなどの症状がみられることもあります。やがて歯の根っこに膿がたまっていき、歯根周囲病巣を引き起こします。歯根部にはスペースがあまりないので、この膿が溜まりすぎると、やがて皮膚を突き破って外側に漏出します。この段階になると、眼の下が急に腫れたり、突然穴があいて膿が漏れ出し、出血したりします。また、上顎の場合歯の根っこのすぐ上側は鼻腔ですので、鼻腔内で膿が出ると鼻出血などの症状となります。
超音波スケーラーという器具を使い、歯にこびりついた歯石を除去します。歯石はこれできれいにできますが、このままだと歯の表面に細かいざらつきが残り、歯石がつきやすくなってしまうので、ポリッシング剤(研磨剤)というものを二種類使い、歯の表面を滑らかにして再度の歯石の付着を予防します。同時に、長年の歯石付着による炎症で、歯肉がかなり下がってしまい、歯石を除去してしまうと歯がぐらぐらな場合や、歯根に膿がたまってトラブルを抱えている場合は、抜歯も同時に行うことがあります。
ご自宅でできる口腔内のケアとして、歯ブラシやガーゼを使ったブラッシング、歯磨きガム、デンタルリンス(飲み水に入れて歯垢が付きにくくする液体)などがあります。中でも歯ブラシが一番効果的に感じますが、コツが必要で、慣れないうちは少し難しいと感じるかもしれません。歯ブラシを行う場合は、その前段階として、口に触れること、口の中に触れること、歯ブラシという物体に慣れることが必要です。成犬でも訓練によってマスターすることは十分可能ですが、できればパピーのうちから習慣づけましょう。(具体的な方法を知りたい方は、来院時にお気軽にお尋ねください。)指で口を触るのは嫌がらないけれど、歯ブラシだと嫌がって…という場合は指にガーゼをあてて歯を擦る方法をおすすめします。(専用のグッズがあります。)また、どうしても口を触らせない場合は、歯磨きガムやデンタルリンスが有効です。いずれの方法も、続けることにこそ効果があります。毎日できなくても、週に数回でも構わないので、頑張って続けましょう。
リンパ腫、肥満細胞腫、乳腺腫瘍、セルトリー細胞腫など
乳腺腫瘍とは、乳腺にできる「できもの」のことです。
「できもの」には「良性」と「悪性」があり、全てを含めて乳腺腫瘍と呼びます。珍しい病気というわけではなく、老齢の犬猫で割と良く遭遇する病気の一つです。
この乳腺腫瘍ですが、その発生は、性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロンなど)が強く関与していると言われます。動物病院に行って、獣医師に「できれば若齢で避妊手術をしておいたほうがいいですよ。」と言われた経験がある方もいると思いますが、その一因がここにあります。犬の場合、腫瘍の発生率を比較すると、初めての発情が来る前に避妊手術をした場合0.05%、発情が一回来た後に避妊手術を行った場合8%、発情が二回以降来た後に手術した場合だと26%だというデータがあります。また、猫については、避妊手術をしていない雌と比較して、六か月齢以下で避妊手術をした猫では91%、一歳以下で避妊手術をした猫では86%発生リスクが低下するというデータがあります。乳腺は性ホルモンの影響をうけて成熟します。乳腺が性ホルモンの影響を受ける前の、若齢での避妊手術を行うと、未成熟な乳腺のままとなり、乳腺腫瘍は発生しにくくなります。
乳腺腫瘍にも「良性」「悪性」が存在します。「良性」の場合、異常な新生物(できもの)は局所にとどまり、進行も遅いですので、切除により根治が可能です。一方、「悪性」の場合は、急速に進行し、局所のみならず、リンパ流や血流にのって、全身に波及していきます。手術で完全に切除できても、再発に注意が必要ですし、既に転移している場合は、手術、化学療法、放射線治療を組み合わせながら「がん」と闘っていくこととなります。
良性と悪性の割合ですが、
(犬)50% 良性 / 50% 悪性
(猫)15% 良性 / 85% 悪性
といわれています。犬と猫ではだいぶ差がありますが、悪性の確率は50%異常です。「しこり」をみつけた場合、放置するのではなく、早めに診察を受けましょう。
治療の選択肢としては、外科的切除(手術)、抗がん剤、放射線療法などがあります。
中でも、一番腫瘍を多く減らせることができるのは外科的切除(手術)になりますが、大事なポイントは一回目の手術でしっかり取りきることだと思います。
切除の範囲としては、
があります。
犬と猫では手術の適応が違いますし、腫瘍の発生状況や動物・飼い主様の抱える状況もそれぞれ違います。手術法によって手術に伴う合併症、動物へのダメージもだいぶ異なってくるので、切除する範囲をどうするか、リンパ節郭清(転移の可能性のあるリンパ節の除去)をどこまで行うのか等、事前にしっかりと相談してから行います。
抗がん剤については、犬猫共に、効果としてはかなり弱く、通常、抗がん剤だけで腫瘍を小さくすることは難しいです。手術後の補助的な治療(すでに転移が認められた場合など)として実施するかどうか相談させていただきます。
放射線療法については、炎症性乳癌(後述)の場合、手術不適応の為、実施することもありますが、高度治療となるので、大学病院などの二次診療施設をご紹介させていただきます。
乳腺腫瘍のなかでも、臨床的な挙動が非常に悪性のものです。厄介なことに、この炎症性乳癌は、各種検査で判断できる特徴的な所見がありません。そのため臨床的な所見をもとに判断を下します。一番特徴的な病理組織所見として、皮膚のリンパ管内への腫瘍細胞の塞栓(詰まっている)が認められることが多いのですが、これによりリンパのうっ滞をおこし、動物が浮腫(腫れていたり)をおこしていたり、足先が腫れているなどで疑われることがあります。炎症性乳癌はとてもタチが悪く、気が付かずに手術をしてしまうと、術後、より一層悪化してしまい、手がつけれなくなってしまうのです。炎症性乳癌が疑われる場合は、術前に確認のために、皮膚のパンチバイオプシー(パンチ穴状の器具を用いて皮膚を一部採取して行う病理検査)を行うことがあります。
心室中隔欠損、僧房弁閉鎖不全症、拡張型・肥大型心筋症など
昨今、日本の犬猫たちは益々長寿になってきていますが、それに伴って多くなってきた病気の一つが心臓病です。心臓病にも様々ありますが、フィラリア寄生虫が引き起こす心臓病や栄養欠乏によって生じる心臓病は予防学、栄養学が発展した現在では過去のものとなり、今最もポピュラーな心臓病が「僧房弁閉鎖不全症」です。 僧房弁は心臓の左心房と左心室を仕切る弁です。その僧房弁が、十分に閉じなくなってしまうと、本来ならば一方通行であるはずの心臓内の血液に逆流が生じ、血液がうまく流れなくなってしまうことで、初期には咳、中期以降は肺水腫や失神などの症状を引き起こす疾患です。
犬で最も多くみられる後天性心疾患の一つで、マルチーズ、ヨークシャー・テリア、トイ・プードル、シー・ズー、チワワなどの小型犬の中齢期以降に多くみられます。ただしキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは、若齢時から進行していく傾向がありますのでキャバリアさんの飼い主様は重々注意してください。
この疾患の最も多い原因は、加齢に伴う僧房弁の粘液腫様変性による弁尖の変形、ゆがみ、逸脱などによって、僧房弁の閉鎖が障害されてしまうことです。他には、心室中隔欠損、動脈管開存症、拡張型心筋症などによる左心室の拡大によって、僧帽弁輪が拡大してしまい、うまく閉まらなくなった結果、血液の逆流が生じることもあります。診断は聴診、胸部レントゲン検査、心エコー検査などを使い評価していきます。
心臓病は高齢の動物に発生しやすい病気ですが、幼い子にも発生します。ただし、幼い子の心臓病は僧帽弁が変性してしまう「僧房弁閉鎖不全症」ではなくて、その多くは先天的、つまり生まれ持った構造異常に起因しています。今回は先天性心疾患のひとつ、「心室中隔欠損症」を紹介します。
心室中隔というのは、左心室と右心室を仕切っている壁です。心室中隔欠損症では、このしきりである心室中隔に、生まれつき欠損孔(穴)が存在してします。そうすると、左心室と右心室の間に血液短絡(バイパス)ができてしまい、通常の血液循環と異なるために、トラブルを生じる心疾患です。犬ではあまり多くはないですが、ミニチュア・ダックスフンド、フレンチ・ブルドックなどの犬種で見られることがあります。猫では、一般的にみられる先天性心疾患です。診断は聴診、胸部レントゲン検査、心エコー検査などで行います。
心室中隔欠損では、
1. 欠損孔の大きさ・位置、2. 短絡する血流の方向や速度、3. 房室弁や大動脈弁逆流などの合併症
などにより、予後が大きく異なります。
特に心エコー検査では、心臓の弁の状態や、血流の速さ・向きなどをリアルタイムで見ることができるため、当院では主にこの心エコー検査による心臓の評価に重点をおいています。
残念ながら心臓は再生力のない臓器です。一度壊れてしまったら自ら元には戻せません。
ヒトでは心臓の手術は一般的に行われていますが、獣医療では高度な機器を必要とするため、大学病院や一部施設を除き、手術を行うことはほとんどありません。
もし心臓病と診断された場合、内科治療によって、壊れつつある心臓が、これ以上壊れないように、壊れ行くとしてもそのペースを少しでも遅くするようにしていきます。基本的にはお薬を病期に合わせて数種類、生涯内服していきます。心臓病と診断されても、病期によってはすぐに治療を始めない場合もありますが、治療が必要との判断を受けた場合、積極的に治療を行ったほうが良いと思います。というのも、心臓病を指摘されたまま放置していて、ある日突然、呼吸が苦しいといって来院し、調べたら心臓病による肺水腫、来院から検査のわずかな時間のうちに急速に進行して亡くなってしまったという症例…実は珍しくないのです。
ヒトでも心臓発作で突然死することがありますが、犬猫でもあります。命に関わる疾患です。もし見つかったら、放置せず、しっかり治療を継続しましょう。
膿皮症、マラセチア症、皮膚糸状菌症、アレルギー性皮膚炎、
ニキビダニ症、ノミ刺咬性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、
ホルモン性脱毛(甲状腺機能低下症、クッシング症候群、性ホルモン性脱毛など)
「最近、年をとったのか少し元気ないみたい」。何か目立った症状はないけれど、活力が低下している子の飼い主さんからよく聞かれる言葉です。たしかに、年齢とともに行動が落ち着いてくる子は多いです。しかし、中には体のトラブルによって活力が低下している子もいます。今回は甲状腺という、体の活力を生み出すホルモンの病気についてお話しします。
甲状腺は動物の頸部に存在する器官で、甲状腺ホルモンという体全体に働く活力ホルモンを分泌しています。この「甲状腺ホルモン」の分泌が少なくなってしまう病気が甲状腺機能低下症で、中高齢の犬に比較的多く発生する病気です。
甲状腺機能低下症の発生原因としては、自分の免疫細胞が自分の甲状腺細胞を攻撃してしまい、リンパ球性甲状腺炎などにより、次第に甲状腺が萎縮してしまうことが挙げられます。
症状としては、体全体に活力がなくなってしまうので、不活発、寒さに弱い、運動不耐、あまり食べてないのに体重が増加する、脱毛、貧血、便秘、発情周期の異常、徐脈、脳神経症状、巨大食道など、様々な症状が生じますが、活力の低下、寒さに弱い、体重増加くらいの症状しか現れていない場合、飼い主様は上記のように「年かな」くらいに思われないことも多く、見過ごされやすい病気の一つです。
まずはしっかりと問診、身体検査をします。疑わしい場合は、一般血液検査のほか、甲状腺ホルモン値の測定をおこなうことで、診断できます。甲状腺ホルモン値は血液で比較的簡単に測定できます。中高齢犬には比較的多い病気ですので、具合が悪くなくても、健康診断で血液検査を行う機会がある方は同時に測定することをお勧めします。この病気は、皮膚症状をはじめ、体全身にかかわる問題が生じます。しっかりした診断治療が必要です。
治療は、内服薬で甲状腺ホルモンを補う治療が主体となります。通常、萎縮した甲状腺は再生しないので、状況に合わせて薬容量を調節しつつ、生涯にわたる投与が必要となります。
ヒトの水虫。厄介ですね。これは真菌というカビの類が感染することで起こりますが、犬猫にもこの真菌によるトラブルが存在します。代表的なものが「皮膚糸状菌症」です。皮膚糸状菌はケラチン(皮膚、被毛、爪などの成分)を好む真菌=カビの仲間で、感染することで脱毛や、ふけ、丘疹、痒みなど皮膚のトラブルを起こします。土壌や野生動物(タヌキ、ハクビシンなど)などの環境中から感染し、主に猫、特に長毛種に多く発生する印象がありますが、犬にも発生します。また、ヒトにも感染する人獣共通感染症ですので注意が必要です。
土壌から感染する種類よりも、動物から感染する種類の発生が多く認められます。外出する猫、野生動物・野良猫と接触機会のある犬、ペットショップなど不特定多数の動物が搬入される施設から来た直後は特にリスクが高いです。感染すると、猫の場合、多くは限局的な脱毛が認められ、放置すると他部位へと広がっていきます。同居猫がいる場合は、その猫にも同様の症状が認められることがあります。また、飼い主様自身の腕などに、リングワームという発疹を認めることもあります。犬の場合は、猫の場合よりも激しい炎症を伴うことが多く、単純な脱毛病変~皮膚炎が限局的に生じ、猫と同様に放置すると他部位へと拡大していきます。
早めに来院していただき、まず視診による病変の確認と問診で他の動物との接触歴がないかなどを確認します。皮膚糸状菌が疑われる場合は、試験培地へ菌の接種を行い、生えてきた菌を確認することで診断します。ただし、試験培地を用いた診断には14日程度の時間がかかります。
皮膚糸状菌だった場合は、他の動物やヒトに感染させる危険があるので、早急に治療が必要です。治療は抗真菌薬というお薬を主体に行いますが、補助としてシャンプー療法も併用することがあります。状況によっては、病変部周囲の毛刈りが必要になることもあります。また同時に、生活空間の清浄化指導を行います。感染体である胞子が、動物の生活空間を汚染していると、内服で治癒しても、再感染を繰り返すことがあります。胞子は環境によっては数年間も存在するらしく、油断はできません。
最後に大事なことをひとつ。ご自分・ご家族の皮膚をチェックしてください。異様な皮膚炎・湿疹がある場合は、念のため皮膚科への受診をおすすめします。
狂犬病ワクチン接種、犬・猫混合ワクチン接種、フィラリア予防、
ノミ・ダニ予防、避妊手術、去勢手術など
ワンちゃんを飼うと、色々なところで耳にしたり、見たりする「フィラリア」って何だろうと思っている方は多いと思います。「フィラリア」はワンちゃんの心臓に寄生する、寄生虫のことです。そしてその「フィラリア」がワンちゃんの心臓に寄生する(ワンちゃんの心臓にいることが大好きな寄生虫なのです)ことをフィラリア症といいます。(注意)最近では、猫ちゃんの報告もあります。
先にも書きましたが、「フィラリア」は「心臓」に住み着く寄生虫なのです。心臓は全身に血液を送るポンプの役割をしており、言うまでもなく、大切な臓器です。そこにフィラリアが住み着くことで、その機能が障害されてしまい、全身に様々な症状が現れ、最終的には命に関わることがあります。
さらに、この病気の最も恐ろしい点は、蚊によって容易にワンちゃんからワンちゃんへと伝播されていくところです。「フィラリアなんて過去の病気」と言う人もいますが、間違ってはいけません。首都圏にもいまだに発生しています。当院でも検査を行うと、陽性のワンちゃんが稀におりますから、昭島にも存在しています。予防していない場合は感染してしまう可能性があります。
また、「罹ってから治療すればよい」という考えは危険です。この病気は「治療」することが大変です。治療法はいくつかありますが、時間も費用も「予防」よりもよほどかかりますし、気が付いたときは時すでに遅しで「治療の甲斐なく…」ということも多いです。
このような理由から、「フィラリア予防」が提唱されています。
このように怖い「フィラリア症」ですが、恐れる必要はありません。フィラリア症には予防薬が存在しますので、きちんとした予防を行えば防ぐことが可能です。予防法はいくつかありますが、当院では内服タイプで行っております。予防は例年ですと5月頃から11月後半頃まで、月に1回予防薬を投与します。(その年の気温によって長めに投与した方がよい場合もあります。)お薬は、ワンちゃんの嗜好にあわせて様々な形状のものをご用意しておりますので、お薬が苦手な子もご安心下さい。
ワンちゃん、猫ちゃんを飼っている方ならば、一度は懸念したことがあるのではないでしょうか?
「うちの子、まさかノミついていないわよね」と。多くの方が室内飼いをしている昨今、「室内飼いだから大丈夫」と考えている方は多いです。
しかし、獣医師の立場からすると、大丈夫とは言えません。なぜならば、病院でノミ・ダニを発見される多くの子が、室内飼いできれいに飼育されている子だからです。ノミ・ダニは予防していなければ、どんなに清潔にしていても、いつ寄生してもおかしくありません。ノミは1匹見つけたら、100匹くらいはいると思ってください。小さい虫ですし、素早く動くので、少数寄生だと、見つけにくいこともあります。ほかのワンちゃんと接触する以外に、野良猫を介したり、飼い主さんの衣服を介してなどと、些細なことで寄生する可能性があります。
ノミが寄生していても、動物は全く普段通りなことも多いです(だから気が付きにくい)。症状で一番多いのは、「皮膚のかゆみ・不快感」です。体質によってはノミアレルギーといって激しい皮膚炎を発症する子もいます。また、寄生したノミによって動物に瓜実条虫(腸管の寄生虫)などのノミが媒介する感染症が感染することがあります。ごくまれに、ノミの大量寄生で貧血をおこしている子も見かけます。ノミは、たまに人のことも刺します。人獣共通感染症を媒介することもあるので、公衆衛生上でも問題があります。さらに、ノミは家の中で生態サイクルが回るので、一度住み着いてしまうと駆除するのが少し厄介です。
次に「ダニ」についてです。(ここでいう「ダニ」は「マダニ」を指します。ハウスダストなどにいる「ダニ」とは違いますのでご注意ください。)ダニは草叢で感染することが多いです。寄生してすぐは小さな虫なのですが、血を吸うことで大きくなり、コーヒー豆くらいの大きさになります。そして、お腹がいっぱいになると最終的に落ちていきます。ダニが寄生していても動物が反応を示さないことも多く、血を吸って大きくなってから(大きくなると目立ちます)気が付かれる方がほとんどです。
ダニはバベシアをはじめとする感染症を媒介するので、注意が必要です。それは動物同士に限らず、人獣共通感染症も媒介します。また、最近話題になっている、ヒトの重症熱性血小板減少症候群(SFTS)はマダニからのウイルス感染が指摘されていますが、その原因として、犬に寄生したマダニに刺されるといった事象が挙げられています。発症すると高い確率でヒトが死亡するウイルスを媒介するなんて怖いですね。
ノミもダニもついてしまってから慌てるのではなく、事前にしっかりとした予防をすることが飼い主さんにとっても動物にとっても大切だと思います。
予防は春先~晩秋にかけて月に一度お薬を投与するだけです。
ノミとダニセットで予防できるお薬もありますし、滴下タイプ、内服タイプと最近ではお薬の形態も増えました。暑い時期に多いと思われがちですが、春や秋の寄生も結構多いです。しっかりと予防しましょう。
ワンちゃんを飼われている方にとっては、狂犬病予防というのは毎年春の風物詩のようになっているのではないでしょうか。法律で決まっているから何となく接種しているけれど、どんな病気?と思っている方は意外に多いのかなと思います。
狂犬病はウイルス感染症ですが、あらゆる哺乳類に感染し、発症するとほぼ100%死亡するという大変恐ろしい病気です(発症するとヒトもほぼ100%死亡します。現代の医療をもってしてもです。)。狂犬病ウイルスに感染すると、脳神経が侵され、様々な症状を生じます。性格の変化は特徴的で、異常に狂暴になったり、逆に沈鬱になったり、動物によって出方が違うようです。ヒトだと水を恐れる恐水症というものが特徴的です。
この病気、有難いことに現在の日本では発生が確認されておりません。しかし、21世紀の今日に至っても、世界では数万人の死者が出ています。発生でいえば、アメリカやヨーロッパなどの先進国でも発生しています。あらゆる哺乳類に感染するため、野生動物での発生をとめることが困難だからです。
ただ、この病気のヒトへの感染はほとんどが犬を介して生じます。犬は身近にいて、狂犬病に罹ると狂暴となり、それを知らずに近づくと咬まれてしまいます。咬まれた傷口から、犬の唾液にいるウイルスに感染してしまうのです。
現在、隣国である韓国・中国・ロシアなどでは発生が認められ、日本にもいつ侵入するかわからない状態です。(日本にもかつて狂犬病が発生していましたが、日本は島国だったので努力の末に発生をとめられました。)現在も狂犬病予防法が存在するのは、このような理由の為です。
飼い主の皆様がきちんと義務を守り、接種を続ければ、侵入の危険性は格段に抑えられます。(集団免疫といい、国内での接種率が75%程度を維持できれば、狂犬病の侵入の危険性、蔓延の危険性が抑えられます。)
ただし、病気が発生していないならばうちの子だけなら打たなくてもいいでしょ…という独りよがりな考え方を皆がしてしまえば、あっという間に病気が侵入してくる可能性があります。そのようなことを招かない為にも、飼い主としての責任を果たし、必ず接種を行いましょう。
狂犬病予防法の第5条では
「犬の所有者は狂犬病の予防注射を毎年一回受けさせなければならない」と定めています。
眼科、耳鼻科および日常のケア、飼育方法・しつけ方法の相談、栄養指導など
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